車が喋ったり、爺さんが風船で飛んでいったり、地球最後のロボットの話だったり。キャラクター造形がいかにもアメリカンで微妙に思えたり。
傑作「トイ・ストーリー」を作っているから、まぁ大丈夫だろう。けど……今回は……。
と、思うことが多い、ピクサーの特報や予告編。
今回も、「頭の中の話? 大丈夫? その手の話で成功したの観たことないんですけど!」と思っていた。
ところが、エンドロールの時にあたしの頭に浮かんだのは、「俺は名作を見てしまったんじゃないか?」。
脳内のコントロールタワーから追い出された2つの感情が、頭の中を旅して元の場所に戻ろうとする話(言語化するとすげーラリパッパムービー!)と、引越しをきっかけに、心のバランスを崩した女の子が、新環境に耐えられなくなり家出を試みようとする話を、同時並行で描くんだけど、これを成立させるだけでもすごくないか?
思春期直前の少女の内面を、ここまで「具現化」できた作品はない。
この手の作品は小難しくなりがちだが、さすがはピクサー、「記憶」「性格」「感情」「思考」といったものを、面白くかつ分かりやすく絵にしていた。
抽象化のくだり、最高!
記憶をめぐる話なので、過去の記憶が多い、いや、「忘れた」記憶が多い大人も見て欲しい映画。
子連れで行って、涙したのが親、なんてこともあるかもしれない。
あまり言うとネタバレになるが、最後に明かされる作品のメッセージが素晴らしい。
人生は少し複雑。思い出も一様ではない。
原題は「インサイド・アウト」。
その方が、物語が伝えたいことに近い。
あっ、ドリカムネタは言い尽くされていて、食傷気味なので華麗にスルー!
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