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シナリオ:金と銀

8 9月 , 2015  


【登場人物】
望月(35) 自営業 バー経営
義男(33) 望月の後輩 
幸彦(35) 望月の同期 デザイナー
等々力(38) バーの常連 マンホール会社勤務

【背景】
・望月、義男、幸彦は地方出身者。大学で、映画研究部だった。
・望月と幸彦は、プレイボーイだった。
・望月と幸彦は、かつて一人の女性を愛していた。
・義男はだらしない後輩。酔うとやや面倒。もてない。
・等々力は、ホモセクシャル。
・交互に会話がキャッチボールされる感じにしたい。
・絵はフィックス、会話はスピード感。
・決めのところだけ素早い編集テンポ。
・望月は固め、幸彦はやわ目。

○バー・中(昼)
バーの扉が開く。
望月、幸彦が入店。
席に座る望月と幸彦。
望月「適当にかけて」
幸彦「うわーマジのバーやん」
望月「そらそうだよ」
笑う望月。
カウンターに入る望月。
望月「何飲む、幸彦?」
幸彦「じゃあ、ビールで」
ビールの準備をする望月。
幸彦「可愛い内装だなー、望月ってこんなの
   がお好みなんだな」
望月「デザイナーから見てどうよ」
幸彦「まあまあかな」
笑う幸彦。
ビールを置く望月。
と、扉が開く。義男である。にやつく義男。
義男「おっ、もう始めてますね」
望月「なんでお前が来るのよ」
幸彦「酔ってるやん」
義男、柏手一つ。
義男「◯◯大学映画研究部同窓会にご出席の
 方ですよね」
望月、幸彦、ため息一つ。
義男「この先輩方なら、0次会をやるだろう
 と」
望月「座れや」
義男「うーす、お茶ハイください」
望月、お茶ハイを作る。
幸彦「他は来てるの」
義男「定時に花の舞集合でしょ、やつらは」
望月「はいよ」
望月の前にお茶ハイがおかれる。
義男「じゃ、かんぱーい!」
義男の「音頭」を無視するかのように、ゆっくりと自分のお酒を準備する望月。
そして、乾杯する望月、義男、幸彦。
幸彦の隣に座る義男。そして、望月を手招きする。
望月「何だよ」
義男「となりに来てくださいよー」
幸彦「すげえうざいな」
舌打ちをして、義男の隣に座る望月。
望月「マイナス一次会やってたの」
義男「駅前のラーメン屋でビールっす」
幸彦「他の連中は」
義男「ソロっす」
望月と幸彦を交互に見てニヤニヤする義男。
望月「なに?」
幸彦「気持ちわる」
義男「あいかわらず、二人とも遊んでるんですか」
ビールを飲む義男。
幸彦「ふつうだよ、ふつう」
望月「お前の普通はやってるってことだな」
幸彦「もてるからしょうがないだろよ」
義男「望月さんは」
幸彦「ここどこだよ」
義男「へ」
幸彦「出会いと別れの酒場だよ」
望月「うるせえな、パーティーから外すぞ」
義男「お客さんとか」
幸彦「店員とか」
望月「俺は一人だし、お客さんに手なんか」
と、ドアが開く。
等々力(38)が現れる。
等々力を見る、望月、幸彦、義男。
望月「と、等々力さん」
等々力「おう」
着席する等々力。
等々力「灯りが見えたから」
周りを見渡す、等々力。
等々力「お邪魔か」
望月「いや、大丈夫です。大学の同期と少し
   飲んでるだけなんで」
等々力「ビール」
カウンター内に戻り、ビールを作る望月。
義男「こんにちは」
笑顔でグラスを上げる義男。
会釈する等々力。じっくり義男を見る。
等々力の前にビールを置く望月。ビールをすする等々力。
幸彦、隣に座った望月に向かって、
幸彦「どなた?」
望月「常連さん」
義男「雰囲気ありますね」
望月「実家がタバコ屋で本人は、大手マンホ
   ール会社の課長」
咳払いをする義男。
義男「で、二人のモテ話に戻しますが」
幸彦「しつこー」
望月「もういいよ」
義男「どうやってくどくんですか」
望月「まちまちだろそんなの」
笑う幸彦。
望月「何だよ」
幸彦「くどいてんだー」
義男「いろんなパターンで」
望月「なんだお前ら」
幸彦「俺、ワンパターン」
義男「必勝の」
望月「やってみろよ」
幸彦「相手いねーじゃん」
義男「僕を抱きたい相手と思って」
望月「無理あるだろ」
幸彦「やってみようか。最初の触りだけよ」
まゆをひそめる望月。
望月、幸彦、義男の様子をじっとり眺める等々力。
※ここから、幸彦の口説きの時間。

幸彦「て、感じかなー」
義男「いいですねー、ナイスですねー」
望月を見る義男。
義男「もちろん、やっていただけますよね」
幸彦「照れ屋だからなー」
舌打ちをする望月。
望月「じゃあ、軽く」
義男「いいですねー」
※望月の口説きの時間。
義男「雰囲気あるわー」
腕組みする義男。
義男「ドローですね」
義男をたたく幸彦。
幸彦「何様」
義男「幸彦さんって、キスうまそうですよね」
幸彦を見る等々力。
幸彦「相当キス魔よ」
望月「ところ構わずだったもんな」
義男「モテポイントの一つでしょ」
幸彦「まーなー」
笑う望月。
望月「調子のるなよ。言うほどテクないだろ」
幸彦「はあっ!」
一気飲みして、グラスを空ける幸彦。
義男の肩を握り、勢いよくキスをする。
最初抵抗するもだんだんの脱力していく義男。
唇を話す幸彦。そして、目の前にあるハードリーカーの瓶を取り、グラスに注いで飲み干す。
目を見開いたままの義男。
幸彦「どうよ、モッチー」
望月「勝手に飲むな」
義男「軍配は幸彦さんですかね」
満面の笑みの幸彦。
幸彦「こいつ、俺に勝ったことないから」
舌打ちをする望月。そして、ハードリカーをグラスに注ぐ望月。
おしぼりを持った望月の手が義男の唇をぬぐう。
望月から後頭部を支えるようにもたれ、唇を奪われる義男。
望月の唇が義男のソレから離れる。
義男「やばっ……」
望月「あー、気持ちわる!」
と、等々力の方を見る望月。
望月「す、すみません、いきなり変なことを」
等々力「いいよ、続けて」
空になったグラスを高く上げる等々力。
会釈する望月。
幸彦「勝敗は!」
義男「甲乙つけがたいです」
グラスを空にする義男。
義男「ただ、意外性は望月さんの方があった
   かも。正直うまいと思ったことないんで」
幸彦「なんだよ、それ」
義男の隣に座り、義男の頭をたたく望月。
望月「そろそろ時間だろ。俺、まだいるから
   お前ら会場に向かえよ」
義男「望月さんの方が期待度高いというところで、幕ですかね」
ハードリカーをグラスに注ぎ飲み干す幸彦。
幸彦「なんだよそれ!」
望月「しょうがないだろ、これで終わり」
幸彦「お前らクソか! 俺の方がモテるに決
   まってるだろ」
にやにやする等々力。
幸彦「最後! 最後に決める!」
腕組みする義男。
義男「あとは、夜の営みでしょう」
うなずく等々力。
幸彦「やってやるよ!」
望月「馬鹿か!」
義男「とりあえず、ペッティングの実力を……」
挙手する等々力。
等々力「感動したよ」
等々力を見る、望月、幸彦、義男。
等々力「ガッツに感動した」
望月「はあ」
等々力「俺が相手になる。思う存分、対決してくれ」
望月「いや、そんな……」
義男「ありがとうございます!」
深々と頭を下げる義男。
手を振る等々力。
等々力「こいよ」
等々力の隣に座る幸彦。
幸彦「失礼します!」
※幸彦の前戯の時間。
深呼吸する等々力。そして、望月を見る等々力。
等々力「こいよ」
望月「いや、その……」
幸彦「お前、常連さんのご厚意を踏みにじる
   のかよ! 馬鹿! 馬鹿バーテン!」
舌打ちをする望月。
望月「よろしくお願いします!」
※望月の前戯の時間。
深呼吸する等々力。そして、義男を見る。
等々力「君が審判だろ」
腕組みをする義男。
義男「うーん」
義男を見る望月と幸彦。
義男「等々力さんでしたっけ? せっかくだ
   し二人で決めませんか」
等々力「いいのか」
うなずく義男。
うなずく望月と幸彦。
等々力「じゃ、審議しよう。別室へ」
トイレに移動する義男と等々力。
残される望月と幸彦。険しい表情。
時計の針は進む。
と、トイレから物音やらかすかな声が聞こえる。
トイレを見る望月と幸彦。
望月「さっさ決めてくれよ」
幸彦「難航してるのかね」
と、トイレを出てくる義男と等々力。
義男「じゃ、発表してください」
等々力「よし」
等々力を見る望月と幸彦。
等々力「優勝は」
タバコに火を点ける義男。
等々力「義男君だ!」
ぼうぜんとする望月と幸彦。
高々と手を上げ、笑う義男。
等々力「二人だけだとアンフェアだ。今、ト
   イレで義男君にも頑張ってもらった。彼は
   最高だ。天性のものを感じた」
義男に握手する等々力。
義男「いやー、すみません、先輩を差し置い
   て」
等々力「会計」
テーブルに1万円を置き、店を出る等々力。
会釈する義男。
義男「やべ、遅刻だ。先に行きますね」
店を出る義男。
顔を見合わせる望月と幸彦。

著者プロフィール

ヤマシヤマTwitter:@danjiki_radio
1978年生まれ。出身地は福岡県久留米市。シナリオを勉強したり国語の勉強をしたりされたりしている。VX-2000を所持。 現在は東京の北東気味在住。東京を三国志で表すならば、魏らへん。

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