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映画評:マッドマックス 怒りのデス・ロード

8 9月 , 2015   Video


監督:ジョージ・ミラー
主演:トム・ハーディー
出演:シャーリーズ・セロン

あらすじ:核戦争の近未来。秩序を失った世界で、元警官であるマックスが、ひょんなことからイモータン・ジョー束ねる組織に囚われ……、とか色々書くと面倒くさいので端的に述べると、車で追手から逃げながら、銃をぶっ放して闘う120分の物語。

進化を遂げた、しかし期待通りのマッドマックス!

109川崎で観賞、最大級サイズのIMAXシアターで、しかも3Dで観るために。

マッドマックスは言わずとしれた、近未来バイオレンス映画の金字塔。
「北斗の拳」を筆頭に、世界の映画や漫画などに多大な影響を与えた一作だ。

数十年ぶりの「帰還」ということで、首を長くして待ったリアルタイムのファンから、少年時代にテレ放映を観てトリコになった輩まで、この日をどれだけの思いで待ったか。
もちろん、行ったのは初日。
劇場は、満員ではなかったものの、多くの観客が押し寄せていた。

とにかく、あらすじで書いた通りだ。単純な「ストレート・ストーリー」。「トイストーリー」ばりの「行って、来い」である。

主人公マックスを演じるのは、「ダークナイト・ライジング」で一躍名を馳せたトム・ハーディー。
(彼の神髄は、映画「ブロンソン」での演技と言える。要チェックのマッドムービー。)
老いてしまった(後、好感度が下がりすぎた)メル・ギブソンの後がまだが、しっかり演じきっていたと思う。
というか、ほとんどセリフがなく、シャーリーズ・セロン演じる隻腕の女戦士フェリオサが事実上の主役だったので、彼にとっては、主役を演じた割に「美味しくな」いのかもしれない。
ただ、本作の場合、だれが主役とか主役じゃないとかは関係ないのかもしれない。
なぜなら、この映画は、車とバイクと銃と荒野が主役。
肩すかし無し。予想を超えて期待を裏切らない純度100%のバイオレンス。
そのオーバードーズを体感することに身を委ねるべきであり、それ意外の講釈は無用だ。

キャラを立てるということの素晴らしさ

「ダークナイト」しかり、悪役がいい映画はいい。それだけで120分もつ。
モータン・ジョーの防護マスクのデザインの秀逸さ。
イモータン・ジョーの部下である、醜く太り歩けない、乳首の部分だけを切り取ったスーツに身を包む「人喰い男爵」。
同じく部下である「武器将軍」は、差し歯が弾丸!

イモータン・ジョーとも敵対するヤマアラシ族は、その名の通りトゲトゲがついた車に乗ってシマに侵入する奴を皆殺しにする。
イワオニ族は、空中殺法の達人達! 彼らのバイクは、通る車の上空を飛び越え、爆弾を相手に落とす。

他にも数々のキャラクターが登場する。キャラが立っていないものは一人もいない。画面に一瞬写り込む者を含めてだ。
こんなに詰め込んで120分で済むのか? キャラの背景の説明を大幅にカットしているから出来たのだろう。
「なんで、この登場人物は、こんな造詣なのだろう?」
そんな疑問が起こらなくもない。が、次の瞬間にそんなクエスチョンが頭に浮かんだことを馬鹿馬鹿しく思ってしまう。だって、そんな映画ではないのだから。

パート2のいい部分だけが延々と

鎖で誰かとつながっているところとか、敵キャラのカリスマ性とか、女戦士の逞しさとか、トラックに乗っての逃走劇とか、全部パート2の「美味しいところ」。
それのみで話が成り立っているので、できれば前作を復習したうえで、劇場に足を運んだ方がいいかもしれない。



久しぶりにパンフレットを買ったのだが、(そして、上映後多くの人が買っていたのだが)、なかなか内容が充実していてよかった。
前述の通り、キャラクターの背景の説明がはしょられているので、パンフで補完するのは手。もう一度観たくなった時、助けになるでしょうね!

※映画鑑賞後、頭をよぎったのがマッカーシー原作の「ザ・ロード」。「マッド・マックス」の高尚版のような作品で、父子が荒廃した世界を希望を求めて歩く話。その中にお母さん役としてシャーリーズ・セロンが出演している。
なんか、関連性を感じてしまう。
原作を読んだけど、こちらもお勧め。

文責:ヤマ

著者プロフィール

ヤマシヤマTwitter:@danjiki_radio
1978年生まれ。出身地は福岡県久留米市。シナリオを勉強したり国語の勉強をしたりされたりしている。VX-2000を所持。 現在は東京の北東気味在住。東京を三国志で表すならば、魏らへん。

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